leather works

トカゲトスマホ

作品名 iPhone x ジャケットmodel Lizard

製作年度 2018/04

革細工 牛ヌメ革、型押し、トカゲ革他

トカゲトスマホ 大鼬鼠拳銃郎
トカゲトスマホ 大鼬鼠拳銃郎

◉ヘイ旦那。そうです。あっしがやりやした…。あれは、革細工を始めて半年位経った頃でしたかね。そのくらいの頃ってのはやってみたい事がいっぱいある訳なんですけど、丁度この時がそんな頃で…。

その頃、一番やって見たかったのは、あれです。厚みのあるハンドルでしてね。古いアンプとかボストンバックとかに付いてそうなアレ。アレなんです。見よう見まねで始めたんですがね。重ねた革を削って芯材兼オス型にして、木でこさえたメス型とで濡れた革を挟んでやると、濡れた革がグイっと伸ばされて、オス型の形に沿ってプックリとした形になる。これをそのまま乾かすとなんとプックリのまま固まるんですよ。立体整形っやつです。革ってやつはつくづく凄いと思いますよ。この立体成型がやってみたくて仕方がなかったんでさあ。で、丁度あっしがiPhone Xに機種変したばっかりだったもんでコイツにハンドルをつけようと思いたっちまって…。出来心だったんですよ。そしたら、あれよあれよって間に、ハンドルがトカゲになっちまって、しかもちょっとメキシコ風まで入って来ちゃったって訳なんですよ。そうだそうだ!トカゲの革を始めて使ったのもこの時なんですよ。爬虫類の革は、小口に厚みを持たせた方がカッコイイから芯材を厚くしたりしてねぇ。旦那、旦那!聞いてます?


●iPhone X のケースです。背面にリングが付いているケースは多いですが、トカゲ型のハンドルが付いたケースは珍しいでしょう?

●使用一年くらいの時でしょうか。だいぶエイジングが進んでトカゲの色が落ち着いてきました。トカゲ部分はヌメ革に染色をしています。


●縦開き型のフラップにカードケースを装備。僕は会社のFeliCaのカードを入れて電子ロック対応にしてます。

●縦開きだとこんな風に横画面で立たせる事が容易です。ムービーを観る時も便利ですが、タイマーで写真を撮る時にとても重宝してます。


●フラップを閉じるとこんな感じ。ライトニングケーブル用の穴が空いています。ハトメに通したカラビナはポケットから取り出す時や、イヤホンなどの小物を止めておくのにも活躍します。

●尻尾の部分がスライドしてハンドルに指が入るスペースを作ります。カラビナも真円の物に変わりました。


●初期のアイデアスケッチ。当初は普通のハンドルの案も。

●製作中。これは染色の色を検討している所だったかな。



2021/02/23追記
◉iPhoneを愛用しています。初めて手にしたiPhone3からナンバリングが新しくなる度に買い替えてきた割とヘビーなユーザーです。「割と」と書いたのは“S”が付くやつは買い換えなかったからですが、それでも二年を待たずに新機種に更新して来ました。でも2020年の10月の時点で使っているのは、iPhone Xです。“Sの付いてないXです。なんでか?それはこのケースを替えたくなかったからです。気に入って使ってるんですよね、このトカゲのスマホケース。もちろん自作で有るという思い入れも有りますし、革細工ならではの使い込む程に育って行く風合いが楽しいっていうのも有ります。でも何より“縦開き”のケースの使い勝手が最高に良いので手放せなかったんです。いやホントに一度使ったら戻れなくなると思うんですけどねー。
でも、いよいよそのケースともお別れする事にしました。機種変する事にしたんです。動機は5G時代が始まったのもあるけれど、なんと言ってもカメラが魅力でした。レンズが三つも付いていて、広角、超広角、望遠とシームレスに使い分けられると云うのですから、カメラの概念が変わります。実は本体の大きさだけならさほど変わらないので、このトカゲのスマホケースを改修して使う事も出来るんですけど、新しいレンズの恩恵を受ける為には、レンズ開口部のサイズが全く足らないのです。残念。
と云う事で、「トカゲトスマホ」はお役御免となります。
iPhone Xを下取りに送り出す前に、ワックスで磨いて写真を撮りました。
約二年半、毎日使ってきたエイジング具合をご覧いただければと思います。
トカゲさん、今まで縦開きの快適なスマホ生活をありがとう。