仕事の量と時間と場所について

●ふと振り返って見ると、仕事を取り巻く環境って驚くほど便利になっている事に気付く。
先日も社内で複写式の伝票を使っているのは、おたくの部署だけですよと言われて、ペーパーレスの承認フローを考える機会があった。大塚商会さんにでも電話すれば、旦那、良いのがありまっせ!てなもんで、山ほどのソリューションを紹介してくれるんだろうけど、今回それは出来ない。コストはかけたく無いので、社内に既に有るリソースを使って初期投資ゼロでやってね!とリクエストされているのだ。そんな禅問答みたいな事が実現できるのかねと思ったが、これが、何とかなるのである。web会議のアプリと思っていたTeamsとか、クラウドのファイルサーバーだと思っていたboxとかには既に承認アプリやチャット機能が装備されていて、二十年以上使い続けて来た四枚綴りの複写式伝票は、ひと月も経たずにペーパーレスの電子承認となってしまった。朝、デスクに到着すると積み上がった伝票と共に業務部の担当が待ち受けていて、煽られながらハンコを推す必要はもう無くなり、いつでもどこででもスマホでも承認することが出来るのだ。大変便利である。部下が伝票書き終わるの待たずに帰っても電車の中で承認出来るし、歯医者の待合室でも承認出来る。便利。
通勤中でも、自宅でも、散歩してても、休日でも、早朝でも、深夜でも…、あれっ、これって便利なのか?便利かもしれないけど、俺の時間侵食されて無いか!?

キッカケは携帯電話が普及した辺りだったかなと思う。時間や場所に関係無く仕事をする事が当たり前になったのは。それまではどんなに仕事が溜まっていても、会社のデスクにたどり着かなければ、仕事は進まなかった。と言うか仕事を見なくても良かった。今日はここまでと腹を括って帰って仕舞えば、次に出勤するまでは仕事の時間はストップしていた。そりゃあ緊急事態には家電に電話がかかって来たけど、それは結構な緊急事態での話だ。かける時も夜九時も過ぎれば「夜分遅くに申し訳ありません。部長はご在宅でしょうか?」などと恐縮しきりだったものだ。でも今は本当に普通に、フラットに夜中でもメールが送信されてくる。明日の朝に見てねのノリだ。自分も送るからよく分かる。相手に迷惑ではないかなどとは考えない。それでもメール位のうちは便利なことの方が圧倒的に勝っていた。今となっては、技術が進み、リモートで出来ることが物凄く増えた。それをコロナが後押しして急速に浸透してしまった。

便利なんだよ。イイこといっぱいあるんだよ。でも、便利に雇用形態が追いついていないと思うんだよね。そして、使える若者と使うのを放棄したおじさんみたいな分類も出来て来ちゃってる。使える若者が時間給で、使えないおじさんが年俸制みたいな、ミスマッチが起っている。現行の労働基準法は既に労働者を守る法律では無くなってる。こいつのリセットが必要だと思うなぁ。