シンウルトラマンの感想

映画「シンウルトラマン」感想

結論:おもしろかったです。92点←点数は?と聞かれるので付けてみます。

以降出てくる怪獣についてはネタバレします。

この映画は、ウルトラマンに対しての知識や経験がどの位あるかによって、感じ方がだいぶ変わる映画だと思います。ウルトラマンを「見ていた」「見ていない」、ウルトラマンに思い入れが「有る」「無い」、過去作の復習を「した」「しない」で楽しみ方、楽しめ方がずいぶん違うのではないでしょうか。

でも、「ウルトラマン」は知っているけれども、本放送は殆ど見たことが無く、従ってウルトラマンに大した思い入れも無く、事前に予備知識もまったく入れていない妻が「面白かった!」と言っていたので、そう言う人でも楽しめる映画なのは間違い無いでしょう。

今回私も事前情報を殆ど入れないで劇場に向かいました。具体的に持っていた情報は、六本木で「庵野秀明 展」を見た時に今回のウルトラマンにはカラータイマーが無い事を知り、出口のミュージアムショップで販売されていたソフビ人形を見て怪獣は“ガボラ”と“ネロンガ”が出るんだと知った事。その後の第二弾特報映像で、メフィラス星人の名刺のカットを見て、登場怪獣は二匹だけでなくて星人も出るんだと知ったくらいの情報量です。岡田斗司夫さんのストーリー予想動画は見ましたが、これはエンタメとして拝見したので、友達と世間話をした程度の影響しか受けていません。

私は、小学校低学年時代にウルトラマンの再放送を何度も見ていて、「ワールドスタンプブック 怪獣の世界」をコンプリートした程の怪獣博士でもあったので“思い入れ”は十分でしたが、今回過去作などは一切見ずに予習なしで臨みました。それが良かったのかどうか分かりませんが、うる覚えの記憶をズルズルと引っ張り出されていく感覚と、それをこんな感じで現代時間に落とし込むんだと言うアイデアの新鮮さが心地よくて、「ウルトラマンはこんなんじゃ無いよ」といったアンチな感想を一切持たずに見る事が出来ました。

今回の「シンウルトラマン」は、テレビシリーズが39話かけてやった事を約二時間に凝縮して、現代版にアレンジした内容になっています。当然、途中をすっ飛ばさない訳には行かないので、怪獣や星人は一部しか出て来ません。そして、現代(に近い?)時代設定なので、携帯電話やノートパソコンといった当時無かったモノたちも登場させなければならず、結果として組織も変わってきます。怪獣も今風に変わっています。ディテールは結構違うんです。カラータイマーがない理由も明かされません。
しかし、基本的なストーリーラインはテレビシリーズを踏襲していました。もちろんディテールは異なる部分、オリジナルな部分も多いのですが、ベースの話として、地球にやって来たウルトラマンが、何故そこに留まり、何故人間の味方となって怪獣と戦って、どうして帰って行ったのか。に関しては、子供の頃に見たウルトラマンのお話と同じなんです。

でも、実を言うと今回シンウルトラマンを見るまでオリジナルのウルトラマンに全編を貫くストーリーがあるとは思っていませんでした。ウルトラマンは、イケてる怪獣とウルトラマンが如何にカッコよく戦うかがメインディッシュなのであって、毎週の1話完結のお話も怪獣の存在感を高める為に存在していて、ウルトラマンが来た理由や帰る訳は、番組自体の初回と最終回の体裁を整える為に、取ってつけたは言い過ぎとしても、形式的なものだと受け取っていたのです。子供心にウルトラマンという番組は、怪獣とウルトラマンのプロレスの様なものと捉えていたと思います。

「シンウルトラマン」では、今まで謎だった幾つかの謎に解答が与えられます。
・怪獣は何故日本にばかり出現するのか?
・変身アイテムの“ベータカプセル”とは何なのか?
・地球はなんで外星人に狙われるのか?
そのほかスペシウム光線の原理など、科学的な根拠が説明されていて、これぞ空想科学ドラマと行ったSF的補完がされています。コレも心地よい所なんですが、同時にウルトラマン最大の謎、ウルトラマンは人間をどう思っていたのか?と言うウルトラマンのメンタルに対しての補完もされています。

この、ウルトラマンの気持ちを考えるという視点が、僕にとっては非常に新鮮に感じた作品でした。アントニオ猪木の試合の見ていた少年が、大人になって猪木の伝記ドラマを見たような感じといえば伝わるでしょうか?少年時代に怪獣プロレスとして見ていた「ウルトラマン」が大人になって人間(星人?)ドラマ「シンウルトラマン」として映画化された。私世代にとってはそこまでセットで楽しめる作品でした。