映画の価値

●日本は新型コロナのオミクロン株を起因とする第五波のピークが見えずにいて、本日は若干気持ちが上がらないので在宅勤務に変更。
昼食は妻がナンを焼いてくれて家で食べたので、カロリー消費の為に海まで散歩に出た。天気も良かったし。
その時に、ボヤッと思ったコト…。

 私は毎朝、朝食の後に新聞を見る。見ている最大の目的は今日放送するテレビ番組の確認の為である。現在の新聞は朝刊を見てニュースを知る事が殆ど無くなったので、もっぱらテレビガイド替わりに活用している。地上波とwowowをざっとチェックして、見たい番組を見つけると録画予約をする。特にwowowで放送される映画を予約する事が多かった。
多かったと過去形で書いたのは、現在は予約をする事は殆ど無くなってしまったからで、数年前までは予約の取りこぼしが無い様にと、目を凝らしてテレビ欄を見ていたけれど、今は習慣でサラッと目を通すだけになった。何故かと言うと答えはふたつあって、Netflixとかのサブスクが充実して来て、ここで見逃してもいつか見れるだろうと言う気持ちが大きくなったのがひとつ。もうひとつが問題で、どうせ録画したって見る事なく消してしまうんだから撮るだけ無駄じゃね。って気持ちが大きくなってきているからだ。実際、平日は殆どニュースしか見ないし、休日もやりたい事が多くて、テレビはレギュラーで観ているコンテンツをさらうのが精一杯なのが実情である。二時間の映画を見る時間なんか録画したものどころか、サブスクでも月に二日も無い。もう解約してやろうかってくらいに無い。

何でこんな事になってしまったのか?映画は今でも大好きだと思うし、見たい作品はいっぱいある。コロナが怖くて劇場に行けないからか?
いや、そうでは無くておそらくは、いつでも見られる環境が此処に在るからだ。と思う。いつでも観られるのなら後回しでも良いや、急がなくても良いや、あらすじが知りたいだけならネットで読めば良いや。いつか暇な時にゆっくり観れば良いや。って事だと思う。つまり、お金を払ってサブスクに契約する事でいつでも大量の作品が観られる環境を手に入れた時点で、私の中で個人向け動画コンテンツの時間的な希少価値が下がってしまったと言う事だ。

勿論、それぞれの動画コンテンツ自体は、それぞれに工夫があって面白い。ものも沢山ある。ただ、今まではその流通に制限があったので、観られる時に観なければと言った希少価値が有った。大作映画でも映画館での公開から、DVDが発売、そしてテレビ放送される迄はなんとなく一線に並んでいても、それを過ぎるとレンタル店でも在庫数が減って、次の新作の影に隠れて目立たなくなるサイクル、所謂「旬」があって、「旬」を過ぎると途端に観る手段も減ってしまうので、「旬」のウチに観なけれならないと言う強迫観念。これこそが希少価値だったと思う。
ところがサブスクなどの充実によって、過去作も簡単に探し出せる様になった。ネットで読んだ記事に触発されて、突然夜中に「未来世紀ブラジル」をもう一度観たくなっても、コートを着込んで駅前のTSUTAYA迄行く必要はないのだ。動画配信サブスクに契約さえすれば。

これって、便利な事なんだけど、でもいつでも観られるからと後回しにしたコトを、全て回収する時間の無い我々は、確実に機会を損失する事になる。この事が今後の動画コンテンツ制作者と視聴者に与える影響は其々の立場で色々と有ると予想されるけれど、確実にサブスク以前と以後で価値の変化が起きてる事は間違いない。

どうせいつでも観られるのだから、暇になって観る時間が出来た時に加入すれば良いから、その時が来るまで加入しない、と思っているうちに観たいと思っていた気持ちも薄れてしまい、結局何も観ないまま時が過ぎて行く事が豊かな生活と言えるのか?

と、そんな事を思いながら、「マンダロリアン」を見る為にDisneyプラスに加入するべきかを自問自答してみる。