作品名: アボカド型レザーマスク
Leather mask model avocado
製作年度: 2020/03
素材:アバルト、関西ヌメ、キッチンペーパー他
◉さて、今回はレザー・マスクの製作記録です!
2020年の3月は日本国中でマスク不足が不足する事態となりました。新型コロナウイルスが猛威を振るったためですが、3月の中旬の状況で言うと、どこのドラッグストアでも売り切れ状態。何軒もハシゴして結局買えなかったと言う話を幾つも耳にしました。平常時から自分の使う物はなるべく自分で作るライフスタイルで過ごしている身としては、ここは当然自作の流れです。市販マスクの争奪戦からは早々に撤退を目指します。
実を言うとこの騒ぎになる前からマスクは作ろうと考えていて、既にデザイン画は幾つか描いてありました。ちなみに何のためにマスクをデザインしていたかと言うと、覆面レスラーっているじゃ無いですか。拙作の「測量野帳マン」や「スマホマン」を見てもらえばわかると思うのですが、僕はプロレス、特にマスクマンが大好きで、いずれ覆面革細工職人としてデビューする目論見で準備をしていたのでした。子供の頃からミルマスカラスに憧れていた為に割と派手目なデザインが多かったのですが…、その中から通勤にも使える位(?)のシンプルなデザインをチョイス。交換式のフィルターなど実用面の機能を加えて型紙を作り始めました。
この時は割と簡単に出来るかと思っていたのですが、いや甘かったです。自分の顔にフィットするハーフマスクを自分一人で作るのって思っていた以上に大変で、鏡や自撮りを駆使した随分と滑稽な作業になってしまいました。
●先ずは、正面と横から撮った自分の顔を、ほぼ等倍のサイズに調整してプリントします。此処にデザイン画を元にマスクを描き込んでサイズ感とデザインを確認していくので、モノクロでコントラストを低く、明度を明るくしておきます。
●等倍のラインから立体を考慮しながら大まかなパーツを切り出してペーパーモデルを作成。合わない部分は切った貼ったで調整するのですが、コレが中々難しい。鏡を見ながら手探りの作業なのでテープが髪の毛にくっついたりしてもう大変。自分の頭部の型が欲しくなります。
●マスクについて前々から思っていた事。冬になると鼻の付け根のあたりから漏れる暖かい息で眼鏡が曇るのをどうにかしたいという事。隙間なくピッタリと塞げば解決するのではと鼻の型をとる事にしました。濡らしたヌメ革を自分の顔に押し当てて強引に型取り。窒息しなくて良かった。
●最初のペーパーモデルを分解して新たな型紙を作り、ペーパーモデル二号を製作。途中でマスキングテープが尽きてしまったので、仕方なく娘のコレクションからイラスト入りのマステを貰いました。可愛くなりました。
●ペーパーモデル二号に自らの鼻で型取りしたパーツを合わせてみます。のっぺら坊みたいで急に気持ち悪くなります。が、好みです。この辺りで出来上がりに手応えを感じ始めました。
●センターパーツの立体整形用の雄型を作る為に材料の買い出しに。ホームセンターに行きたい所ですが、時節柄近所の100均で済ませる事にしました。そこで今回のキモとなるアイテムを発見!
なんと100均のレンゲの裏側が先程取った自分の鼻の骨格に酷似している事に気づきました。購入したレンゲをMDFに固定して紙粘土で肉付け。紙粘土で型を作るのは初めてでしたが、同じく100均で入手したレジンでコーティングした所、中々に上手くいきました。しかもお安い。
●乾いた雄型に濡らした革を当てて伸ばし、ある程度の所で外枠だけの雌型で絞り込んでセンターの立体整形パーツを作成。ペーパーモデル二号を元に両脇と顎下の型紙も出来たので床革で試作を作ります。なにやら完璧なんじゃ無いの〜!と、思っていたのです、この時までは…。
●自身満々でフィッティングするも、どうも、耳が…キツイ。うーむ、ペーパーモデルでは完璧と思われたのだが…。ガマンして使っているうちに慣れそうな気もしますが、ここは意を決して耳部分の形状をもう一度調整する事にしました。再び自分の頭部の型が欲しくなりました。
●床革の試作品を切った貼ったして形状を再調整。革の厚さを考慮してパーツを分割して型紙に落とし込んでいきます。そもそも衣装的な物はエプロン位しか作った事が無かったので、今回はフィッティングが必要なものの難しさを知りました。
●中に仕込むフィルターの製作。キッチンペーパーを3枚重ねて、少量の「のり」を溶かした水で湿らせて雄型に纏わせて乾燥。乾いたら不要部分をカットして仕上げ。週末の天気は良い日に量産してますが、雨の日はでヒートガンで強制乾燥。コンベクションオーブンがあれば、楽になるのか?←最近気になっている。
●フィルターはアボカド型のカップ部分にカシメの足を仕込んでいて、ドーナツ状の革で挟んで抑える方式。このカップは内側が1mm厚のヌメ革。外側は1.5〜2.0mm厚のタンニン鞣しの革の二枚合わせになってます。最後の貼り合わせる事で、縫い目を隠すと同時に型崩れしにくくしています。
●マスクの本体の衛生面を担保する為に、紫外線殺菌ライトを入手。ダンボールで簡単なボックスを作って中にアルミホイルを貼り回してます。五分間照射で殺菌が完了!らしいです。帰宅後にフィルターを捨てて、殺菌ライト5分してそのまま乾燥。翌日はもう一度殺菌ライト3分当ててから、新しいフィルターを装着して出かける様にしてます。
●丸三日かかって初号の完成。四日間使用して、装着感、機能共に思った以上に良好。1日付けていても耳が痛くならなかったのは良かった。息苦しくはないけど、口の四つの穴を指で塞ぐと息が吸えず、センターのカップ部分が口に吸着するので、キチンと四つの穴から呼吸出来ている様です。自分の飛沫防止の役割は間違いなく出来ているけど、防塵マスクとしても機能するかも。
しかし、
こんな時期でなかったら会社にこんな物付けては行けない…かな。
●一ヶ月半程の間に4つ作成。色違い、細部違いで、自分様に二つ。息子と娘に一つづつ。今、世の中に沢山の手作りマスクが発表されているけれど、レザーで立体整形は結構レアなんじゃないでしょうか。
これから暫くはマスクは必要不可欠なアイテムになるでしょうから、自分らしい物、気に入った物を使って行きたいですね。
ただ、これこれからの季節革ははちょっと暑いかなぁ。
●さて、夏用の開発を始めますか。